パリはきっと、”写真の都”。

05d42997.jpgいまthink gardenから借りている写真集、『パリ 美し都の四半世紀』(初沢克利/集英社/1994年)がすばらしい。700ページにも及ぶ中には、すべてモノクロで切り取られたパリの街角、人々からパリコレクションの表舞台と裏舞台に至るまで、著者の10年に及ぶパリでの写真家生活とその後も折に触れ訪れ続けたパリで切り取った膨大な数の写真が収められている。すでに10年以上前の本だから、ここに映っている光景や人々の身にまとう服にはちょっとなつかしさを感じるが、これこそが写真の写真たるゆえんなのだ。

写真集とは言っても、この本は本当にフランクでカジュアルな身なりをしている。ここに収められた写真のほとんどは、パリの街の日常の光景……セーヌの川岸で甲羅干しをするカップル、なじみのカフェに毎夜集うお客さんたち、公園、メトロ、道ばたで歌うミュージシャン、などなど。普段着の街が映っているから、この本もまた、特別に着飾ってはいない普通のソフトカバーで、本文の紙質もとりたてて上質というわけじゃない。でも、そこに刷り込まれたモノクロームのパリはしっとりとなじんでいて、なにより、あたたかい。

パリにはもちろん僕は行ったことはない。でも、写真術の生まれた国の首都、世界中のアーティストが集まる芸術の都のここを切り取った数あまたの写真を見ていると、人も空気も景色も音も、とにかく雑然としているのに、誰かがタクトを振っているわけでもなく調和している街……そんなふうに思える。
ファッション誌に出てくるような色にあふれたパリも、アジェやドアノーが切り取った白と黒とグレーのパリも、そう見える。僕にとっても、一度は写真に撮ってみたい街のひとつだ。

これだけの分厚い本にすら、きっとまとめきれなかったくらいの光景をきっと著者は間違いなく見て、切り取っている。積み重ね積み重ね、シャッターを切り続ける日々。写真家はそんな日々を、きのうも、きょうもあしたも、積み重ねていくものなのだ。僕もその末席に加われるだろうか……。


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